アメリカ初の日本茶試飲催事?

たぶん、間違いなく、日本茶業組合によるアメリカ初の日本茶試飲催事は、

911(明治44)年、西巌海外派遣員によるセントルイスの「グランドリーダ」デパートで行われました。

このデパートは日本茶好きでいらしてくださったようで、

同年、デパート内に日本茶茶店「東京ティールーム」をオープンしていたのです。

そこで、快く、日本茶の催事を4週間続けられたとのこと。

セントルイスの食料共進会2週間、百貨店4週間、スプリングフィールドの農産物博覧会2週間で2千人から注文を受け、「日本茶の香味は米人の嗜好に適したる」と喜んで報告されています。

 

この時、西巌は、ミルクやクリームを入れない方が日本茶は美味しいと伝え、新下さったアメリカ人に納得してもらえたとのことす。

その場で販売は遠慮して(地元の茶商のため)、C.F.ブランチ商会という地元の卸商に入ってもらい、試飲して購入したいと言われたら

  1. 注文票を書いてもらう
  2. 卸商が地元の小売店に販売する
  3. 地元の小売店で購入してもらう

という、面倒ですが、この流れで行ったところ、

その注文を受けた小売店さんが、お客さんが再来した時のためにと、在庫を持ってくれるようになったとのこと!

西巌さん(写真のおひげの方)頑張ってました。

f:id:yoshinoako:20220117193409p:plain

静岡県茶業会議所所蔵



そして、今回、判明したことがあります。

三重県の茶業研究課に保存されていた一枚の写真。

これも西氏が写っているのですが、
『茶業界』という雑誌では、「スプリングフィールドの農産物博覧会」の喫茶店ということになってます。

しかし、同じ写真の端には、サンフランシスコ博覧会とメモ書きがあるのです。
これは注意!

 

日本に送られてきたときに間違えてメモをしたのか?
『茶業界』の雑誌編集者が間違えたか?

さて、どちらでしょう。

f:id:yoshinoako:20220117192106p:plain

三重県茶業研究課所蔵




参考「日本喫茶店の仕組」『茶業界』1912年3月号(p58-59)

ーーーーーーーーーー
吉野亜湖

静岡大学非常勤講師

ふじのくに茶の都ミュージアム客員研究員