ユーカースが見た明治の日本茶1

『ALL ABOUT TEA』の著者ユーカースの明治40年の日本訪問記を読んでいます。

『Tea&Coffee Trade Jouranal』1907年13号(ニューヨーク市立図書館所蔵)から

Tea in Formosa and Japan  その3

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いよいよ日本茶編です。

Tea in Japan

 

長崎に3月21日の夜に入る。

3月24日神戸で調査を始めた。

 

神戸で会ったのは、有名どころの茶商さんですね

 スミスベーカー商会D.B.Taylor

 A.A.バレンタイン商会F.W.Schwer

 ジョンC.シーグフリード商会Schroath

 ヘリヤ商会A.T.ヘリヤー

 そして、『ジャパンクロニクル』編集者Douglas M. Young

 

P18は「Alfred Adeldorfer」の写真4枚が掲載されています。(この方の詳細は不詳、ご存じの方いらしたら教えてください。)

 

Picking:

手摘みの写真(もこもこした茶畑ではなく連なって見えます)

Weighting:

自然仕立ての園地でお茶摘みさんが摘んだ生葉の目方を計量されているところ

Firing-First process:

ホイロの上で茶葉を揉んでいるのは鉢巻きし、ふんどしのみの男性。

Rollin-First process:

筵の上で茶葉を揉んでいる男性二名

 

掲載された統計をみると、神戸横浜同様、輸出量が1903年から1906年までに半分まで落ち込んでいます。

 

ちょうど日本で人件費が上がってきた頃です。

 

神戸を離れ、大阪に向かう途中で京都に立ち寄ったユーカース。それから国鉄に乗って四日市、静岡、横浜、東京と訪れています。

 

宇治の覆い下茶園の写真や茶摘み娘の集合写真、茶摘み風景や茶園の写真も全部で4枚掲載。(p21-22)

 

横浜で数週間すごし、関東大震災前のグランドホテルに宿泊したとリトルジャーニーシリーズに書いてありました。

 

横浜で最後の夜に、大谷嘉兵衛(中央茶業会)から日本式の夕食に招待され、三橋信方(横浜市長)、神奈川県第一秘書官(N.Saka)、商工会議所の秘書官Takekuma岡田の諸氏が同席して大変良い思い出だった。

 

東京で、台湾総督府民政長官 祝辰巳と台湾茶について話す。(彼は、完璧で魅力的な「新しい日本型」の紳士という印象)

 

ちょうど東京で産業博覧会が開催されていたので行った、とあります。

東京勧業博覧会」(3月20日―7月31日)のことですね!

なんという偶然!

 

博覧会で、最新の茶のパッケージアイデアや「植民地」の台湾館を見学。

 

どんなパッケージだったのでしょうね。

 

東京では、T.Furuta(古田商会)に会い、生産者と工場を訪問。

その他、AAバレンタイン商会のマネージャーA.Rock、MJブランデンステイン商会の中島、ゴットリーブ&水谷商会のN.Gottlieb、メイシー商会のE.J.Cowan、スミスべーカー商会のN.F. Smith に会う。

 

E.J.Moss(茶業者でないが日本在住期間が長く、茶に関する書籍も多く所蔵している)、ジャパンアドバタイザーのHarrison、ジャパンガジェットのCyril Allen、トーン&サンズのE.V.Thorn, F.Schorederなど他の編集者や記者たちと面談している。


さて、次はいよいよ日本の茶園や製造についてです。

次へとつづく
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吉野亜湖

静岡大学非常勤講師・ふじのくに茶の都ミュージアム客員研究員