誰もがお茶について知っておくべきこと~大正編

大正時代に書かれた

『What Everyone Should Know about Tea』

~誰もが知っておくべきお茶のこと~

 

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『All about Tea』を書いたW.H.ユーカースの小冊子です。

 

タイトルからして、

手にしたくなるような一冊ですよね。


15ページくらいで短いので、目次というのはないのですが、小見出しをピックアップすると(順不同)

How it originated 起源

Where it grows, where consumed 生産地と消費地

How it grows 生産

How it is manufactured 製造

Tea characteristics 特徴

What kind to buy 買うべきお茶

Formosa teas 台湾茶

Japan teas 日本茶

China teas 中国茶

India teas インド茶

Ceylon teas セイロン茶

Java and Sumatra teas ジャワ茶、スマトラ

How to make it 淹れ方

How to serve it・提供の仕方

 

日本茶については、抹茶が菓子の原料になっていることも書いてあります。この時期からあったのですね。

 

日本の宇治産の抹茶は、多くの菓子やアイスクリームの香料として使用され、ピスタチオ並みの繊細な風味と色を与えています。

 

また、面白いのは、アメリカの食品店で一般に購入できるお茶は、1500種類以上で、その中で「日本茶」は100種類くらいある、というのです。

そして、

日本茶は「茶のホワイトワイン」
台湾烏龍茶は「茶のシャンパン」

とたとえているのですが、中国茶やインドについては何もたとえはないということです。


自分にあうお茶を見つけるというアドバイスでは、

基礎的なお茶の知識(産地、栽培法、製造法など)を把握したうえで、

「その種類の茶で最も高い=良質なお茶」を手に入れてください

と一貫しています。

お茶の淹れ方が、まず、自分が手に入れられる最高の茶を買うというのが、著者ユーカースならではのおすすめですね。

とってもお茶を愛しているのだなということがわかります。

しかしながら、お茶の選び方の話は、「人類がお茶に関わって何百年以上もたつのに、いまだに選び方がわからないという人が多い」ですよね、という軽口から始まってます。

 

そして、はじめに、このように伝え、

~お茶は古くから「快楽と健康の飲み物」として、また「喜びをもたらすが酔わない一杯」としても知られています。~

 

以下でむすんでます。(抄訳)

~一日のうち、いつ飲むのが良いでしょうか?アメリカでは午後飲むようです。自宅や仕事場での疲労を和らげ、効率を高め、仕事を幸せで成功に導くための最もさわやかな飲み物。その魔法の特性は、イギリスで試みられ証明された社会的慣習として、そしてアメリカで「社会的に正しいもの」であることは確証されています。~

 

この本は、タイトルからして気になっていたのですが、日本のコレクターの方が手に入れられたので、見せていただくことが叶いました。お礼申し上げます。

『All about Tea』1935年にこの内容がブラッシュアップされて25章に収まってますので、その翻訳ができたので、近々皆様に読んでいただけるようにしたいと思います。

参考:杉本卓先生訳『ロマンス・オブ・ティー(ユーカース著)にも、この小冊子と重なる箇所があります。第七章「茶の種類」の部分です。


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吉野亜湖

 

静岡大学非常勤講師

ふじのくに茶の都ミュージアム客員研究員

静岡県立大学 社会人フェロー