戦時下の日本茶の製法について~ロンドンのティーマンの味覚を落とした統制
戦時下の日本茶の製法について、資料を見つけたのでご紹介します。
前段として・・・
終戦後、昭和27年に海外視察に行った茶業者の報告書のお話から最初に。
日本紅茶株式会社柚原社長が、ロンドンで飲ませてもらった紅茶を見て、「イギリスの紅茶の質が落ちた」と感じ、
彼らは認めないだろうが、「統制が紅茶の質も低下させてしまった」と報告していたのが気になっていたのですが、
『日本茶業史』を読んでいたところ、
戦時下、日本茶の製造法もかなり制限があったことがわかりました。
戦時中、以下のような製茶に関する指導が出ていたのを見て、納得しました。
「戦時製茶法設定要綱」を簡単に引用しますと、
緑茶の製造方法として、
1.蒸し工程は、「熬熱」または「熱風蒸」とすること。* 熬熱とは、灼熱した鉄板の上に生葉を投入して蓋をして蒸熱する方法で、釜蒸しの一種。* 熱風蒸とは、粗揉機を蒸機に代用して蒸す方法。高温度150度の熱風を吹き込んだ粗揉機に生葉を投入する。2.粗揉工程は、従来より時間を短縮すること3.再乾工程は、従来より時間を短縮すること4.精揉工程は省略すること5.仕上げ工程についても簡単にすること、例えば、上級茶も木茎が混ざっていても差し支えない、番茶は粉を除去する程度にとどめる。